2018年02月15日
東海スピネット修復~第2弾
東海スピネットの修復は2台目です。
長く弾いてなかったということで、鍵盤が三分の一くらい戻らなくなっている。
摺動部のへばり付き程度ではなさそうなので、前面パネルを外してみてビックリ。
キーのバランスピン(支点)が左右に傾いて打ってある。
前部のガイドピンは長円形なのに廻っている(芯の向きが合っていない)。
これは製造当初からだったと思われるので、新品当時から戻りづらかったのでは?
ピンの打ち込み方向を修正したら円滑な動きになりました。
硬くて大きなプレクトラ(爪)はナイロン製?
弾くと ”バチン・ベチン” 、指の筋トレしているような感触!
すっかり経年硬化しているので、大きく削り込んでヴォイシングします。
あと数日の工程。
長く弾いてなかったということで、鍵盤が三分の一くらい戻らなくなっている。
摺動部のへばり付き程度ではなさそうなので、前面パネルを外してみてビックリ。
キーのバランスピン(支点)が左右に傾いて打ってある。
前部のガイドピンは長円形なのに廻っている(芯の向きが合っていない)。
これは製造当初からだったと思われるので、新品当時から戻りづらかったのでは?
ピンの打ち込み方向を修正したら円滑な動きになりました。
硬くて大きなプレクトラ(爪)はナイロン製?
弾くと ”バチン・ベチン” 、指の筋トレしているような感触!
すっかり経年硬化しているので、大きく削り込んでヴォイシングします。
あと数日の工程。
2017年10月24日
東海スピネットの修復記
40年ほど前の東海楽器製スピネットの修復を頼まれました。
1970-80年代には大量に出回ってた楽器です。いま第一線で活躍中のチェンバリストの中にも初めて弾いたのはこの楽器だったという方がいらっしゃるそうです。
私も80年代に合奏用に使っていたことがあります。ただ、モダンチェンバロ構造に加えて、ジャックの爪がバカバカしく硬くて大きく、弾くとベチン・バチンと耐えられない汚い音でした。爪をかなり削って我慢できる音質に改造した記憶があります。
長く放置されていたとのことで全体に汚れや錆がべったりと付着していました。スチール製の弦は表面がザラザラに錆びておりましたので全弦を交換することにしました。
外せる部品は全部外して掃除から始めたところ、調律ピンが満身の力を込めないと回らないほど錆び付いている。
電動ドリルで強引に外しました。
サビサビの調律ピン。
この後、IPAで拭き上げてからシリコーンオイルを塗布。
内部に積もった埃は調理の油煙?煙草のヤニ?でしょうか、ベッタリとへばり付いていました。
ジャックの摺動部にも。こちらもIPAで清掃。
この後、ヴォイシングでジャックのプレクトラを半分くらいまで削り、だいぶ伸びのある響きにできました。
完成しました。新しい弦がピカピカに光っています。
持ち主さんのお宅に搬入して喜んでいただけたのが何より有難かったですね。
1970-80年代には大量に出回ってた楽器です。いま第一線で活躍中のチェンバリストの中にも初めて弾いたのはこの楽器だったという方がいらっしゃるそうです。
私も80年代に合奏用に使っていたことがあります。ただ、モダンチェンバロ構造に加えて、ジャックの爪がバカバカしく硬くて大きく、弾くとベチン・バチンと耐えられない汚い音でした。爪をかなり削って我慢できる音質に改造した記憶があります。
長く放置されていたとのことで全体に汚れや錆がべったりと付着していました。スチール製の弦は表面がザラザラに錆びておりましたので全弦を交換することにしました。
外せる部品は全部外して掃除から始めたところ、調律ピンが満身の力を込めないと回らないほど錆び付いている。
電動ドリルで強引に外しました。
サビサビの調律ピン。
この後、IPAで拭き上げてからシリコーンオイルを塗布。
内部に積もった埃は調理の油煙?煙草のヤニ?でしょうか、ベッタリとへばり付いていました。
ジャックの摺動部にも。こちらもIPAで清掃。
この後、ヴォイシングでジャックのプレクトラを半分くらいまで削り、だいぶ伸びのある響きにできました。
完成しました。新しい弦がピカピカに光っています。
持ち主さんのお宅に搬入して喜んでいただけたのが何より有難かったですね。
2016年11月17日
ヴァージナル外板の補修
ヴァージナルが貸出先の事故で大きく破損しました。
背後に見える額縁が倒れて当たり、後側の外板がふたつに割れて脱落。小さな破片が一面に散乱しています。
2016年8月29日の出来事。
大がかりな修復工事は初めてで、「さて、どう進めるかなあ?」と手順を考えているうちに2ヶ月経ってしまいました。
まず下側の破断面を接着し、伸縮性のある ”Super tape" と平ゴムひもで固定。
普通のクランプが使えないので、方法を考えたり試行したりしている時間が長い。やり方を決めれば実作業はあっという間でした。
下側と上側の破断面は細長い破片が裂けて脱落していたので、大きい破片は小組み。
上側を継ぎました。
微少な破片は一つずつ戻すこともできず、V溝を掘って別の木片を埋めました。
左右の出来映えがずいぶん差がある・・・(涙)
修復が終わって調律したらやたらに音が狂う。
弦のヒッチピンループが弛んでずれてきているためだった。外板のキズをよく見ると、外板が折れて倒れ込んだ時にナットに当たり、弦が引っ張られてヒッチピン側が弛んだらしい。 (例:写真では左端の弦)
弦を10数本交換しました。
背後に見える額縁が倒れて当たり、後側の外板がふたつに割れて脱落。小さな破片が一面に散乱しています。
2016年8月29日の出来事。
大がかりな修復工事は初めてで、「さて、どう進めるかなあ?」と手順を考えているうちに2ヶ月経ってしまいました。
まず下側の破断面を接着し、伸縮性のある ”Super tape" と平ゴムひもで固定。
普通のクランプが使えないので、方法を考えたり試行したりしている時間が長い。やり方を決めれば実作業はあっという間でした。
下側と上側の破断面は細長い破片が裂けて脱落していたので、大きい破片は小組み。
上側を継ぎました。
微少な破片は一つずつ戻すこともできず、V溝を掘って別の木片を埋めました。
左右の出来映えがずいぶん差がある・・・(涙)
修復が終わって調律したらやたらに音が狂う。
弦のヒッチピンループが弛んでずれてきているためだった。外板のキズをよく見ると、外板が折れて倒れ込んだ時にナットに当たり、弦が引っ張られてヒッチピン側が弛んだらしい。 (例:写真では左端の弦)
弦を10数本交換しました。